石原さとみ『幕末純情伝』が伝説と呼ばれる理由|清純派の殻を破った覚醒の真実

石原さとみ『幕末純情伝』が伝説と呼ばれる理由|清純派の殻を破った覚醒の真実

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2008年8月13日、東京・新橋演舞場で幕を開けた松竹・パルコ提携公演『幕末純情伝』。開演前の世間の空気は、期待とともに強い疑念に包まれていました。朝ドラヒロインや王道ドラマのヒロインを務めてきた石原さとみが、罵声や下ネタ、過激な身体接触が飛び交う「つかこうへいの劇世界」に耐えられるのかという懸念があったためです。

しかし、初日の幕が上がると同時にその疑念は完全に吹き飛びました。白無垢から黒の隊服へ身を包み、血反吐を吐きながら鬼神のごとく刀を振るう石原さとみの姿に、観客も批評家も息を呑みました。劇場の最後列まで突き刺さる強靭な発声、鬼気迫る感情の爆発、そして哀切極まる美しさは、これまでの彼女のパブリックイメージを粉微塵に打ち砕く圧倒的な熱量を放っていたのです。

当時、現場を取材した演劇記者は「初日のカーテンコールでスタンディングオベーションが起きた瞬間、一人の少女が本物の表現者へと脱皮した奇跡を目撃した」と書き残しています。この公演こそが、石原さとみという女優のキャリアにおける最大のパラダイムシフトでした。

阿部 裕樹
著者

阿部 裕樹

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。