今日でこそ高級外車が購入できる価格で取引されるがんばリーリエですが、2017年10月20日に発売されたハイクラスパック「GXバトルブースト」収録のリーリエSR(型番:119/114)が登場した当初、ここまでの怪物カードになると見抜いていた人間は皆無に等しい状態でした。
当時、秋葉原のショップでの初動価格は4,000円〜5,500円程度。ゲームプレイヤーの間では「サポートカードとしてドロー効果は強力だが、特別に入手が不可能なカードではない」という実用カード寄りの評価でした。それがなぜ、歴代最高額とされる「1枚3,300万円」の成約記録を生み出すに至ったのか。その軌跡を振り返ると、3つの決定的な転換点が存在します。
第1の要因は、絶版化による供給の完全遮断です。GXバトルブーストは封入率が極めて渋く、1ボックス購入してもSRが確定で1枚出るかどうかの厳しい仕様でした。その後、サン&ムーン期からソード&シールド期へと移行する中で同パックは絶版となり、市場への新規供給が完全にストップしました。
第2の要因は、イラストレーター・さいとうなおき氏が手掛けたアートワークの圧倒的な完成度です。ゲーム『ポケットモンスター サン・ムーン』で精神的成長を遂げ、髪を結び直して決意を固めた「がんばり姿」のリーリエを見事に切り取った構図は、ポケカ史における最高峰のマスターピースと称賛されました。単なるキャラクターグッズの領域を超え、ポップカルチャーの美術品としての価値を帯び始めた瞬間です。
第3の爆発点となったのが、2021年から2023年にかけてのグローバルな代替投資ブームとPSA鑑定の定着でした。コロナ禍の金融緩和マネー、スニーカーや高級時計の転売バブルから流れてきた海外投機資金が「最も美しく、最も知名度が高く、供給が限られているポケカ」に一極集中。オークションで最高額記録が更新されるたびにニュースとなり、さらなる資金を呼び込む自己増殖的な高騰スパイラルを描きました。