多くの読者が最も強い疑問を抱くのは、「これだけの重大事故を起こした医師が、なぜ今も医師免許を保持し、勤務先を変えて医療を続けられているのか」という点です。
取材データおよび関係者証言によると、モデル医師は2021年に赤穂市民病院を依願退職した後、大阪府内の医療法人やクリニックに籍を移しました。主に手術を伴わない健診業務や総合内科・外来対応、救急補助などを担当していたとされ、SNSや口コミサイトでその情報が拡散されるたびに勤務先の変更や異動が取り沙汰される事態となっています。
医師免許が取り消されない背景には、日本の法制度における構造的な壁が存在します。
厚生労働省の「医道審議会」による医師免許の取消や医業停止といった行政処分は、基本的に「刑事罰(禁錮刑以上や罰金刑など)が確定したこと」を契機として審議されます。民事裁判で多額の賠償命令が出たとしても、それ単独では直ちに行政処分へ直結しないのが現行制度の運用実態です。このため、刑事訴訟の確定判決が出るまでの間は、形式上「正当な医師免許を保持した状態」が継続することになります。