月山習という男は、一筋縄ではいかない。富裕層の令息としての洗練された立ち振る舞い、フランス語や英語を混ぜ合わせた独特のキザな台詞回し。しかしその本性は、主人公・金木研(カネキ)の肉体を極上の食材として執拗に追い詰める、凄惨な喰種(グール)だ。
この二面性を完璧に成立させたのが、宮野真守の表現力である。気品あふれる紳士の声色から、一瞬にして欲望をむき出しにした奇怪な奇声へと切り替わる緩急の凄まじさ。抑えたトーンから破裂するような歓喜の叫びへの移行は、まさに鳥肌モノだ。宮野真守だからこそ、月山は単なる凶悪な敵役にとどまらず、どこか愛おしく、目が離せない唯一無二の存在へと昇華した。