本作のもうひとつの大きな推進力であったのが、幼馴染である生形澄と、女子プロ競艇選手として切磋琢磨した青島優子を交えた三角関係の行方です。
アニメ最終回における波多野と澄の描写は、過剰な甘さを排した極めて成熟した演出で描かれました。SG制覇の熱狂の裏で、澄は常に命がけの水面に身を投じる波多野の無事を祈り続け、波多野もまた澄の変わらぬ存在に深い安らぎを見出します。直接的なプロポーズや挙式のシーンこそ描かれませんでしたが、二人の心の距離は完全に定まっており、「精神的な生涯の伴侶」となった確信を抱かせる演出でした。
一方、原作漫画の最終回エピローグでは、この関係が明確な形となって読者に届けられています。物語の終了後、波多野憲二と生形澄は正式に結婚。澄のお腹には新たな命が宿っており、プロボートレーサーとして脂の乗った波多野が父親としての責任を背負いながら水面に向かう姿が描かれました。
そして、多くのファンを惹きつけた青島優子のその後も見逃せません。波多野に対して抱いていた淡い恋心は、波多野の澄への揺るぎない想いを知ることで静かに幕を下ろします。しかし青島は感傷に流されることなく、プロとして自立する道を選びました。女子リーグのトップ選手として女子王座決定戦をはじめとする大舞台で堂々と水面を疾走し、競艇界を牽引する一翼を担っていく姿は、ひとりのプロアスリートの真の自立として高く評価されています。