医学論文の無機質な数値だけでは、これらの痛みの本質は見えてきません。医療従事者が当直室で目撃する修羅場や、患者自身がSNSや闘病手記に遺したリアルな描写には、人間の痛覚の限界が克明に刻まれています。
救命救急センターの看護師は、夜間救急の現場を次のように振り返ります。「深夜、待合室のドアが開いた瞬間に結石の患者さんだと分かります。痛みに耐えてじっと座っている人はいません。腰を押さえ、脂汗を滝のように流しながら床を転げ回り、うめき声を上げながら吐き気を訴える。成人男性が文字通り『頼むから早く殺してくれ』と懇願してくる姿は、現場でも結石くらいです」
これこそが典型的な尿路結石の症状です。直径わずか数ミリのカルシウム結晶が細い尿管を下降する際、尿の流れをせき止め、腎盂の内圧が急上昇することで腎被膜が引き裂かれるように引き伸ばされます。背中から側腹部、下腹部、さらには股間へと痛みが突き抜け、あまりの激痛に迷走神経反射が引き起こされて嘔吐を繰り返すことになります。
さらに異様な体験談が寄せられるのが群発頭痛です。20代〜40代の働き盛り男性に好発するこの疾患について、当事者がネット掲示板に投稿した叫びは切実を極めます。「毎年決まった季節の夜中、時計で測ったように決まった時間に目が覚める。左目の奥に熱した鉄の棒を突き刺され、ぐりぐりと抉られている感覚。部屋の中を頭を抱えて歩き回り、壁に頭を打ち付けずにはいられない。痛みが引くまでの1時間は、人間としての理性が完全に消し飛ぶ」
近年の神経科学研究により、群発頭痛の原因と治し方は大きく進歩しました。発症には脳の視床下部や内頸動脈の拡張、三叉神経の興奮が深く関与していると突き止められています。一般的な市販鎮痛薬は一切通用せず、高濃度(100%)酸素吸入やトリプタン系薬剤(皮下注射薬)の投与、さらにはカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とした抗体製剤の予防投与などが標準治療として定着しています。