副鼻腔炎に伴う口臭は、個人の健康問題にとどまらず、患者の社会生活や精神状態を著しくむしばむ実態があります。大手Q&AサイトやSNS上には、誰にも相談できず孤立を深める人々の切実な叫びが溢れています。
「マスクを外した瞬間、職場の同僚があからさまに顔を背けた」「エレベーターの中で自分の息が充満し、耐えきれなくなって途中で降りた」といった告白は氷山の一角にすぎません。取材に応じた30代の会社員男性は、当時の苦渋に満ちた体験を次のように語ってくれました。
「朝晩の歯磨きに加え、舌苔の掃除、フロス、マウスウォッシュを毎食後欠かさず行っていました。それでも妻から『息がドブ臭い』と指摘され、ショックで人前で話すことすら怖くなりました。耳鼻科で内視鏡を見せられた時、喉の奥に黄緑色のヘドロのような膿が滝のように流れているのを見て、口の中をいくら洗っても無駄だったのだと初めて知りました」(取材に基づく当事者談)
一方で、近年のネットコミュニティで急速に注目を集めているのが好酸球性副鼻腔炎を巡る声です。「副鼻腔炎の手術を何度も受けたのに臭いが再発する」「嗅覚障害のせいで自分の悪臭に気づけず、周囲の反応で初めて知った」という投稿が散見されます。好酸球性副鼻腔炎は国の指定難病にも認定されている2型炎症性の疾患であり、通常の細菌感染とは全く異なる病態を示します。自覚症状が乏しいまま強烈な後鼻漏が喉にへばりつき、周囲に異臭を放ち続けるという悲痛なケースも確認されています。
また、臨床現場で問題視されているのが「抗生物質を飲んでいるのに口臭が消えない」という経緯です。風邪薬の感覚で抗生物質を不規則に内服した結果、細菌がバイオフィルム(強固な膜構造)を形成して薬剤を跳ね返し、慢性副鼻腔炎へと固定化してしまう悪循環が数多く報告されています。