四代目猿之助といえば、革新的な舞台表現で新たなファン層を開拓した功労者でもある。特に『スーパー歌舞伎II ワンピース』の大ヒットは、伝統的な歌舞伎の枠組みを打ち破る歴史的快挙として絶賛された。しかし、その華々しい成功の裏で、制作現場の負荷と座長への権力集中はピークに達していた。
圧倒的なカリスマ性と天才的な演出能力を持つがゆえに、周囲は彼の意見に一切異を唱えられない雰囲気が出来上がっていた。名声が高まるにつれ、稽古場や楽屋での過度な指導は増長し、いつしかハラスメントの領域へと踏み込んでいったとされる。成功体験が暴走を覆い隠し、内部からの自浄作用を完全に麻痺させてしまった典型例といえるだろう。