日本眼科学会や救急現場の報告資料によると、急性緑内障発作を起こした患者の初診時の行動には、ある共通した危険なパターンが存在します。それは「激しい症状が出ているにもかかわらず、眼科以外の診療科へ駆け込んでしまう」という現象です。
実際にSNSや医療相談プラットフォームに寄せられた患者の手記や体験談を検証すると、壮絶な現場の実態が浮かび上がります。
「夜中に部屋を暗くしてスマートフォンを見ていたところ、突然頭を殴られたような激痛と吐き気に襲われた。救急車を呼んで救急病院の内科に運ばれ、急性胃腸炎や偏頭痛を疑われて点滴を受けたが全く良くならなかった。翌朝になって目が真っ赤に充血し、白くかすんでいることに医師が気づき、急遽眼科へ転送されたときにはすでに眼圧が60を超えていた」(60代女性の手記より要約)
急性発作時の眼圧上昇は、三叉神経を介して激しい頭痛を引き起こし、迷走神経反射によって激しい嘔吐を伴います。本人は「目」の異常というよりも「耐え難い頭痛と吐き気」に意識が奪われてしまうため、脳梗塞やくも膜下出血を疑って脳神経外科を受診したり、消化器内科を受診したりするケースが極めて多いのです。
現場の眼科医は「頭痛や吐き気で救急外来を受診した際、もし片方の目が充血していたり、瞳孔が中等度に開いたまま対光反射がなかったり、視界が白く霞んで見えたりするなら、直ちに眼圧を測定しなければならない」と警鐘を鳴らし続けています。このタイムロスが、治療開始の遅れと視覚障害の後遺症につながる最大のボトルネックとなっています。