ヘリウムガスによる事故で最も恐ろしいのが、浮力で浮かせるための「ゴム風船用・イベント用ヘリウム」を直接吸い込む行為です。これは絶対にやってはいけません。過去にはテレビ番組のロケや個人撮影などで、意識不明の重体や死亡に至る痛ましい事故が国内外で複数発生しています。
風船用のボンベに充填されている気体は、浮力を最大化するために純度99%以上の純ヘリウムです。人間の肺は、酸素濃度がゼロの気体を吸い込むと、肺胞の血液中から気体側へ酸素が一瞬で奪い取られる「逆拡散」を起こします。
通常、息を止めたときは血中酸素が徐々に減るため苦しさを自覚できますが、純ヘリウムを肺いっぱいに吸い込むと、苦痛を感じる暇すらなく一呼吸で脳が重度の酸欠に陥り、数秒で目の前が真っ暗になって失神します。そのまま倒れて頭部を強打する危険や、意識を失ったまま窒息して脳死・心停止に至る危険が極めて高いのです。