演歌界を代表する兄弟といえば、鳥羽一郎と山川豊をおいて他にありません。一般的に「兄が先に世に出て弟を引っ張る」というイメージを持たれがちですが、芸能界入りを果たしたのは弟の山川豊が先でした。
兄の鳥羽一郎(本名:木村鉄男)は、家計を助けるために若くして遠洋漁業の船に乗る勇敢な海の男でした。弟の才能を信じ、上京を後押ししたのも兄です。山川豊が『函館本線』で華々しいデビューを飾りスターダムにのし上がる姿を見届けた後、鳥羽一郎は1982年に名曲『兄弟船』で満を持してデビューを果たしました。
兄弟でありながら所属レコード会社や歌の路線(海の男の力強い演歌と、都会的な哀愁を帯びた艶歌)を異にし、互いを「最高のライバルであり、唯一無二の理解者」として認め合ってきた関係性は、多くのファンの胸を打ちます。二人が共演するジョイントコンサートは長年にわたりプラチナチケットとなっており、ステージ上で見せる息の合った掛け合いやデュエットは、日本の演歌文化における至宝と称されています。