少年マガジン連載の人気コミックを実写化した『ブラッディ・マンデイ』において、成宮寛貴が担ったのは、致死性ウイルス「BLOODY-X」を用いて首都壊滅を目論む謎のテロ集団を実質的に指揮する参謀・神崎潤(J)でした。原作の卓越したプロットを三次元に昇華させるうえで、Jというキャラクターの説得力は作品の成否を分ける最重要ピースでした。
当時の制作関係者やチーフ監督の証言を振り返ると、Jのキャスティングにおいて重視されたのは「単なる残虐な悪人ではなく、常人には計り知れない退廃的な神聖さを持った人物」でした。成宮寛貴はこの難役に際し、原作のイメージをただトレースするのではなく、声音のトーンや指先の動き、微動だにしない視線の据え方に至るまで綿密な計算を施して撮影に臨んだと報じられています。
劇中でJが見せた、メロンソーダをストローで静かにすする姿や、盤上のチェス駒を倒すように他者の命を切り捨てる冷淡さは、視聴者に強烈なトラウマと同時に奇妙な陶酔感を与えました。正義に燃える主人公・高木藤丸の焦燥感と、全てを手玉に取るJの脱力した笑み。この圧倒的な対比構造こそが、本作を単なるパニックサスペンスから傑作サイコスリラーへと押し上げた主因でした。