真野響子の足跡は、日本のテレビドラマの黄金期そのものと言っても過言ではない。重厚な時代劇から、緊迫感あふれるサスペンスドラマまで、彼女が画面に登場するだけで作品の格調が一気に跳ね上がる。時代劇では、武家の妻としての凛とした気品や、内に秘めた業を見事に体現し、作品にリアリティを与えてきた。
一方、2時間ドラマをはじめとするサスペンスドラマのジャンルでも、複雑な心理描写を要求される難役を数多くこなしてきた。単なる被害者や加害者という類型にとどまらず、人間が抱える弱さや狂気、罪の意識を繊細なグラデーションで描き出す手腕は、視聴者を物語の核心へと引きずり込む。日本のテレビドラマ界が成熟していく過程で、真野が果たした役割は極めて大きい。