カジノの聖地とされるエリアでも、カジノVIPルーム入室条件の仕組みには地域ごとに決定的な思想の違いが存在します。
ラスベガスVIPルームでは、カジノ運営企業との「直接契約」が基本原則です。プレイヤーズカードの利用実績、信用調査(バックグラウンドチェック)、そして金融機関の信用状(LOC:Line of Credit)に基づき、カジノ側が独自に「マーカー」と呼ばれるクレジット枠を設定します。デポジットとして数百万円以上の現金を前払いするか、信用枠の承認を得ることで、ベラージオやウィン・ラスベガスなどの奥深くに位置するプライベートサロン「サロン・プリヴェ(Salon Privé)」への入室が許可されます。
一方、アジアの巨大市場を牽引してきたマカオでは、歴史的にマカオVIPジャンケットと呼ばれる仲介業者が強大な力を持っていました。富裕層を独自に集客し、渡航手配から資金貸し付け、借金回収までを一手に引き受けるプロモーター組織です。しかし、2021年の太陽城集団(サンシティ)トップ逮捕劇を発端とする中国当局の資金洗浄取り締まりとマカオ政府の博彩法改正により、ジャンケットビジネスは解体的な再編を余儀なくされました。現在ではカジノライセンス保持企業が直接VIPを管理する直営ルームへの移行が進んでおり、資金源の出所(AMLチェック)審査は世界的に厳格化の一途をたどっています。