夜中に目が覚めてしまった際、多くの人が良かれと思って実践している行動の中に、実は睡眠障害を悪化させる致命的なトラップが存在します。専門医の指導のもと、巷に流布する誤解を解き明かします。
第1の誤解は、「眠れないのに布団の中で目を閉じ続けて耐える」という行為です。「横になっているだけでも8割は体力が回復する」という説を信じ、何時間もじっと我慢する人がいます。しかし、睡眠医学における「刺激制御療法」の観点では、これは完全な逆効果です。眠気がない状態でベッドに留まり続けると、脳は「ベッド=眠れずに葛藤する苦しい場所」と強力に学習してしまいます。時計を見て20分以上眠れそうにない場合は、潔く一度布団を出るのが鉄則です。
第2の誤解は、「寝酒(アルコール)で寝付きを良くしようとする」習慣です。アルコールには一時的な鎮静作用があるため、確かに最初の入眠は早くなります。しかし、摂取したアルコールが肝臓で分解される過程で生じる「アセトアルデヒド」には強い交感神経刺激作用があり、摂取後3〜4時間で急激な覚醒を誘発します。加えて、強力な利尿作用によって膀胱が刺激されるため、アルコールは「前半の眠りを促し、後半に強制的な中途覚醒をもたらす最悪の物質」と言わざるを得ません。
第3の誤解は、「途中で起きたときに正確な時刻を確認する」ことです。枕元のスマートフォンを手に取り、「いま何時だろう?」と確認した瞬間、画面からの強い光刺激でメラトニン分泌がストップします。それ以上に、「もう午前3時半か、あと2時間半しか眠れない」という計算が瞬時に脳内で走り、強烈な焦燥感を生み出します。夜中に目が覚めた際は、時計を視界に入れない工夫が極めて重要です。