1990年代、日本のテレビドラマは黄金期を迎えていた。その中心でひときわ異彩を放っていたのが松岡俊介だ。1994年のフジテレビ系ドラマ『若者のすべて』で見せた影のある佇まいは、傷つきやすい若者のリアルを体現して視聴者に強烈な爪痕を残した。
そして1996年、名作青春群像劇として今なお語り継がれる『白線流し』が放送される。長瀬智也や酒井美紀らとともに演じた長谷部優介役は、裕福な家庭に育ちながらも自らの進路や葛藤に揺れる秀才の高校生。抑制の効いた繊細な演技は多くの共感を呼び、作品はスペシャルドラマとしてシリーズ化されるほどの社会現象となった。
セリフの多さで語るのではない。伏せた視線や、煙草をくゆらせる指先、ふとした沈黙。そこに宿る圧倒的な説得力こそが、俳優・松岡俊介の真骨頂だった。