文字情報として「ちゃう」が並ぶと視覚的な混乱を招きますが、音声として発話された瞬間に曖昧さが消え去る理由、それこそがチャウチャウちゃう イントネーションの法則性にあります。
東京式アクセント(標準語)が音の「上がり・下がり」の型を重視するのに対し、関西を中心とする京阪式アクセントは、単語の出だしが高いか低いか(高起式・低起式)という明確なピッチのコントラストを持っています。これが関西弁 ちゃう 使い分けにおいて決定的な識別標識として機能します。
代表的なフレーズ「ちゃうちゃう、チャウチャウちゃうんちゃう?」をピッチ構造で分解すると、次のようになります。
冒頭の否定「ちゃうちゃう(違います)」は、【高・低・高・低】または強い下降調で発音され、相手の発言を強く否定するリズムを作ります。続く犬種の「チャウチャウ」は、頭高型の【高・低・低・低】となり、名詞としての輪郭を保ちます。そして最後の「ちゃうんちゃう?(違うのではないか?)」は、【低・高・低・高】と末尾にかけて疑問の抑揚が持ち上がります。
このように、音素(母音と子音の並び)は同一であっても、音の高さの配列パターンが完全に異なるため、聞き手は文脈とピッチ情報を瞬時に照合し、脳内で品詞を自動分類しています。単なる言葉遊びにとどまらず、日本語の方言学における音響的合理性を証明する格好の教材となっています。