『聖母たちのララバイ』は、当初からシングル曲として綿密にプロデュースされた楽曲ではありませんでした。1981年秋にスタートした新番組『火曜サスペンス劇場』のエンディングを飾るためだけに制作された、わずか1コーラスだけの劇伴用ボーカルピースだったのです。
サスペンスドラマの衝撃的な結末の直後、余韻を包み込むように流れる岩崎宏美の切なくも力強い歌声は、放送直後から視聴者の心を鷲掴みにしました。「あの曲のタイトルは何なのか」「どこに行けばレコードが買えるのか」という問い合わせが日本テレビとレコード会社に殺到。番組が企画したカセットテーププレゼントには十数万通を超える応募葉書が押し寄せ、レコード会社も急遽シングル化へと舵を切らざるを得なくなりました。
急ピッチで2コーラス目以降の作詞と補作・編曲が行われ、1982年5月に満を持してリリース。発売から瞬く間にオリコンチャートの首位へと駆け上がり、最終的に80万枚以上のセールス(公称130万枚)を叩き出すメガヒットへと発展したのです。