建設現場において、作業員が絶縁電線(IV線など)を剥き出しのまま壁裏や天井裏に転がすことは絶対に許されません。これは電気設備技術基準とその解釈において、配線工法の法的ルールが厳格に区分されているためです。
シースを持たない絶縁電線は、単体で造営材(柱や梁、壁材)に直接接触させて敷設することが法律上禁じられています。地震による建物の揺れや熱伸縮で壁内部の軽鉄スタッドや木材のささくれと擦れ合えば、薄い絶縁被覆は容易に削れ落ちます。その結果生じる導体の露出は、即座に漏電火災や感電事故の導火線となるのです。したがって、絶縁電線を用いる場合は、外部からの機械的損傷を遮断する電線管の必要性が生じ、金属管工事や合成樹脂管(PF管・CD管)工事を行うことが義務付けられています。
一方で、頑強なシース構造を備えたVVFケーブルやCVケーブルであれば、法律が定める「ケーブル工事」に該当し、電線管を用いずにステップル(絶縁留め金具)で木造梁に直接固定したり、天井裏の野縁の上に転がし配線したりすることが合法的に認められています。シースという「鎧」を纏っているからこそ、施工コストと工数を大幅に削減できるケーブル工事が現代建築の標準工法として君臨しているわけです。