ラーメン二郎の総本山であるラーメン二郎三田本店の清潔感は、しばしばファンの間でも議論の的となります。創始者である山田拓美総帥が立ち続ける三田本店は、慶應義塾大学のすぐそばに位置し、半世紀以上にわたって学生や労働者の胃袋を満たしてきました。
三田本店の現場を観察すると、外観のトタン屋根や年季の入った看板、狭い店内階段など、物理的な経年劣化は隠せません。カウンター下の荷物置き場やエアコン周辺には長年蓄積された油煙の跡が見られ、近代的な商業施設に入居する飲食店のようなピカピカの美観とは一線を画しています。
しかし、そこで働く職人たちの動きを注視すると、スープを注ぐ直前の丼の温め、茹で釜周りのこまめな湯垢落とし、食材の丁寧な扱いなど、職人肌の規律が貫かれています。自著や特番インタビュー等で総帥が語ってきた「腹いっぱい食わせてやりたい」という精神は、コストを内装の豪華さではなく、圧倒的な豚肉のボリュームと自家製麺のクオリティに全振りする姿勢に直結しています。三田本店の佇まいは、「不潔」というよりは「大衆食文化の生きた化石」と呼ぶべき独特の風格を放っています。