実写映画化にあたり、制作陣はキャラクターの生命線となるキャスティングに長期間を費やしました。主役である孤独な少女リロ役には、ハワイ出身の期待の新人子役マイア・ケアロハ(Maia Kealoha)が数百人規模のオーディションを勝ち抜いて大抜擢されました。彼女の持つ天真爛漫な魅力と、地元ハワイの文化に根差したフラの表現力は、現場スタッフからも絶賛を集めました。
一方で、リロの姉であり保護者として奮闘するナニ役のキャスティングを巡っては、発表直後に海外のSNSを中心に激しい議論が巻き起こりました。その背景には、ハリウッドが長年直面してきた歴史的な課題が存在します。
ハワイ出身の俳優シドニー・エリザベス・アグドンがナニ役に決定した際、ナニ役のキャスティング炎上理由となったのは「カラリズム(Colorism:同じ有色人種コミュニティ内において、肌の色の薄い人が優遇される差別構造)」の問題でした。アニメ版のナニは健康的な濃い褐色の肌と特徴的な骨格を持っていたのに対し、起用されたアグドンは比較的肌の色が明るいライトスキンのハワイアン系であったため、「ポリネシア系や先住民の多様な特徴を薄める『ホワイトウォッシング』の一種ではないか」という批判が一部のカルチャー批評家やコミュニティから噴出したのです。
これに対し、制作陣と現地キャストはハワイの豊かな多文化ルーツを尊重し、文化的アドバイザーの指導のもとで撮影を敢行しました。本編でアグドンが見せた妹を必死に守ろうとする感情豊かな演技は、公開後に多くの観客の心を打ち、外見の議論を超えた支持を獲得するに至っています。