お茶屋の門をくぐるための「紹介制」には、極めて重いルールが存在します。それは、「紹介者は、紹介された人物のすべての行動と支払いに対して連帯保証人を務める」という不文律です。
もし紹介した客が代金を支払わずに連絡を絶ったり、座敷で著しいマナー違反を犯したりした場合、その責任はすべて紹介した常連客が背負うことになります。紹介者の信用は失墜し、最悪の場合は自らもお茶屋への出入りを禁止されるペナルティを受けます。
そのため、常連客側も安易に知人を連れて行くことはありません。「この人なら祇園のルールを理解し、礼節をわきまえた遊び方ができる」と確信を持てる相手だけを厳選して店に引き合わせます。この二重三重の相互監視と信頼の連鎖こそが、何百年もの間、花街の治安と格式を無傷で保ち続けてきた強力なエンジンです。