商工中金完全民営化計画は、日本の金融市場における最大級の構造改革事業だ。政府系金融機関としての歴史に終止符を打ち、純粋な民間組織へと脱皮を図るプロセスは、法律の改正を経ていよいよ大詰めを迎えている。株式の段階的売却が進む中、株式会社商工組合中央金庫が保有してきた「公的バックアップ」の看板は、少しずつ民間的な収益性重視の姿勢へとシフトしつつある。
経営現場において懸念されているのは、「公的な後ろ盾が消えた後も、危機時に頼れる金融機関であり続けられるか」という一点に尽きる。従来の株主構造が崩れることで、リスクの高い資金供給が手控えられるのではないかという疑念は根強い。官民の境界線が塗り替えられる今、商工中金が果たすべき新たな役割の定義が問われている。