「許せサスケ、これで最後だ」——。このあまりにも有名で、胸を締め付ける名ゼリフはいかにして生まれたのか。石川英郎が後年語った収録時のエピソードには、役者としての壮絶な覚悟がにじみ出ている。当初、イタチという人物が背負う本当の真実や物語の結末は、ごく一部のスタッフのみにしか明かされていなかったという。
真相を知らされないまま冷徹な抜け忍としてマイクに向かっていた初期の収録。しかし、物語が進むにつれて少しずつ明かされるイタチの業(ごう)。石川は、サスケに向ける視線の奥にある微かな揺らぎを、声の倍音や吐息の抜き方にまで計算して込めていた。過度な感情表現を極限まで削ぎ落とす引き算の演技こそが、イタチという男の孤独と凄みを何倍にも増幅させたのだ。