ネット空間で圧倒的な影響力を誇るのが、料理研究家のリュウジ氏だ。彼が提唱するバズレシピは、味の素や市販の調味料を恐れずに使い、酒のつまみとしても成立する圧倒的なパンチのある味付けで中毒者を増やし続けている。「理屈抜きに今すぐ美味いものを食いたい」という欲望にダイレクトに響くアプローチは、料理のハードルを劇的に下げた。
一方で、NHKの『きょうの料理』などで長年愛されてきた栗原はるみ氏に代表される伝統的なレシピの価値も失われてはいない。丁寧な出汁の取り方や季節感を大切にする家庭料理のアプローチは、心身を整える上質な食体験として根強い支持を集めている。
荒々しくも合理的なデジタル発のレシピと、暮らしに寄り添うトラディショナルな料理スタイル。この二極化と融合こそが、現代の日本の食文化をより豊かで魅力的なものにしている。