「持株会社による直接支配が禁止された現代において、財閥の影響力など過去の遺物ではないか」という見解は、実態を見誤っています。現代における財閥系企業の影響力は、目に見える資本関係を超えた「見えない連携」の中に存在します。
象徴的なのが、先端テクノロジーや国家安全保障に関わる大型プロジェクトです。AI時代を支える次世代半導体の量産拠点整備、グリーン水素・アンモニアサプライチェーンの構築、防衛産業における次世代戦闘機の共同開発など、数百億円から数兆円規模のリスクマネーが必要とされる領域では、三菱・三井・住友の商社・重工・金融・不動産がタッグを組んで先陣を切っています。
また、丸の内(三菱地所)や日本橋・八重洲(三井不動産)に代表される日本のビジネス中心地の開発権を掌握していることも、グループのブランド力と政治的発言力を担保する源泉となっています。
かつてのような「財閥本社が下した指令に全社が従う」構造は存在しません。しかし、同じ源流を持つというブランドへの帰属意識、社長会での定期的な情報共有、海外案件でのコンソーシアム形成など、「緩やかだが強固な連帯」が、外資系巨大テック企業や国営企業に対抗する日本最大の武器として機能し続けています。