相貌失認を巡っては、ネット上や日常生活においていくつかの重大な誤解が存在します。
誤解1:自閉スペクトラム症(ASD)や発達障害と同一のものである?
相貌失認とASD(自閉スペクトラム症)は医学的に別の概念です。ASDの当事者の中には、他者と目を合わせることへの抵抗感や全体把握の特性から人の顔を覚えるのが苦手な人がおり、両者が併発するケースは確認されています。しかし、ASDの特性を持たない(対人コミュニケーションや空気を読む能力に全く問題がない)純粋な先天性相貌失認の人も多数存在します。両者を混同しないことが正確な理解への第一歩です。
誤解2:「相手に興味がないから覚えないだけ」という精神論
最も当事者を傷つけるのが「失礼だ」「愛想が悪い」「相手への関心が薄い」という精神論による批判です。相貌失認は脳のハードウェア(神経回路)の処理特性であり、本人の道徳心や対人意欲の強弱とは一切関係がありません。