使い残したマニキュアを手っ取り早く処分しようと、洗面所や台所のシンク、トイレの水にそのまま流してしまうケースが散見されます。しかし、この行為は住宅設備および環境保全の観点から極めて危険なNG行為として各自治体や消防機関から強く警告されています。
一般的なマニキュア(ネイルエナメル)の主成分は、皮膜形成剤であるニトロセルロース、可塑剤、着色顔料、そしてこれらを均一に溶かし込んでいる有機溶剤(酢酸エチルや酢酸ブチルなど)です。これらの成分が水と接触すると、瞬時に溶剤が水中に拡散・揮発し、残されたニトロセルロースと顔料が急速に固化します。
排水管の内部に付着した樹脂は水に溶けないため、髪の毛や油脂を巻き込んで巨大な閉塞物を形成します。水道修理業者の現場データによると、マニキュアや塗料の誤廃棄に起因する配管つまりの修繕費用は1回あたり15,000円〜50,000円超に達する事例も報告されています。さらに深刻なのは引火リスクです。酢酸エチルの引火点はマイナス4℃前後と極めて低く、常温でも爆発性の高い揮発性有機化合物(VOC)ガスを放出します。密閉された排水パイプ内にガスが充満した場合、静電気やディスポーザーの作動火花で引火・小爆発を招く危険性すら存在します。