イラスト制作の現場で「構図が思いつかない理由」を徹底調査すると、描き手の技術以前に作業プロセスの致命的なエラーが浮かび上がってきます。多くの挫折者がやってしまう典型的な行動が、キャンバスを開いていきなり「キャラクターの瞳」や「輪郭」から描き始める行為です。これは建築に例えるなら、基礎工事や間取り図を引かないまま柱を立てようとする行為にほかなりません。
認知科学の観点から見ても、脳は「無」から有を生み出す際に激しい負荷(認知過負荷)を起こします。絵が描けなくなるイラストスランプ脱出法の第一歩は、自分がどの段階で思考停止しているのかを正しく切り分けることです。
現場のイラストレーターや専門学校の講師陣が指摘する「初心者がやりがちな3大トラップ」は以下の通りです。
第一に、「何を伝えたいか(感情・物語)」が決まる前にポーズを探してしまう点です。キャラクターが「悲しんでいる」のか「誇らしげ」なのかが決まっていなければ、カメラアングルが決まるはずもありません。第二に、「キャンバスサイズと余白の意識欠如」です。縦長・横長の枠組みに対してどう空間を埋めるかという意識が抜け落ち、中央にただ立ち絵を置くだけの単調な絵画になってしまいます。そして第三に、「ポーズと構図の混同」です。手足をどう曲げるか(ポーズ)ばかりに気を取られ、画面全体の明暗比や視線誘導の全体設計(構図)が完全に後回しになっているケースが後を絶ちません。