フォスフォフィライトの物語は、文字通り「自己の喪失と変容の連続」でした。最終形態に至るまでのプロセスを振り返ると、彼が何か新しい力を得るたびに、大切な記憶や身体の一部を不可逆的に失ってきた残酷な軌跡が浮き彫りになります。
序盤のフォスは硬度三半という脆さを持ち、戦うことすらままならない落ちこぼれでした。しかし、足を奪われてアゲート(瑪瑙)を接ぎ木されたことで俊足を手に入れ、流氷の海で両腕を失ったことで合金(金・白金)を獲得します。この合金はフォスの身体を自在に変形させる強力な武器となった反面、重金属の浸食により精神面にも大きな変調をもたらしました。
さらに頭部を失ったことでラピスラズリの頭部を移植され、極めて高い洞察力を得たものの、引き換えに本来のフォス自身の初期記憶の大半が失われます。そして月への渡航、月人化の技術による眼球の移植、金剛の兄機である「博士の端末」の吸収を経て、フォスの肉体は宝石・合金・月人の技術・機械が混ざり合った異形へと突き進んでいきました。この一連の形態変化一覧は、フォスが「宝石」という枠組みを脱ぎ捨て、より上位の構造物へと強制的に再構築されていく受難のロードマップそのものでした。