ジャック・ハンマーが薬物による強化に踏み切った背景には、壮絶な挫折と悲愴な覚悟が存在する。当初の彼は、純粋な努力のみで父親を超えようとしていた。1日30時間にも及ぶと表現される常軌を逸したトレーニングを自らに課した結果、彼の肉体は過剰運動によって壊壊寸前にまで追い込まれた。筋肉は徐々に衰弱し、骨は悲鳴を上げ、努力すればするほど弱くなっていくという残酷な現実に行き着いたのだ。
その極限状態の中で巡り会ったのが、謎の科学者ジョン博士と、彼が開発した臨床実験段階の強化薬物(Xフォーミュラ)だった。常人であれば一瞬で内臓が崩壊するほどの致死量を毎日投与し続けるという狂気の選択。ジャック・ハンマーは自らの生命力を燃料とし、科学の力を借りて崩壊した肉体を悪魔的な超人に生まれ変わらせた。過剰投与の裏に隠されていた真実、それはずる賢いドーピングなどではなく、「明日死んでも構わない」という勝利への異常な覚悟そのものだった。