かつて全国のはま寿司約500店舗に配備され、来店客を発券機前で案内していたペッパーくん。彼らが店頭から姿を消した最大の構造的契機は、「Pepper for Biz」の3年契約満了です。
ゼンショーホールディングスがはま寿司へのペッパーくん導入を本格化させたのは2016年秋から2017年にかけてのことでした。当時としては極めて先進的な「ロボットが接客受付を行う回転寿司チェーン」としてテレビやWEBメディアで大々的に報じられ、来店客数の押し上げにも大きく寄与しました。
しかし、法人向けロボットレンタル契約は一般的に3年単位で更新を迎えます。2019年秋から2026年以降、初期導入分の契約更新時期が次々と到来しました。企業が月額約5万5,000円(保守費用やクラウド利用料を含めると店舗あたり月額数万円〜10万円弱)のリース料を払い続けるためには、それに見合う明確な投資対効果(ROI)が不可欠です。報道関係者や流通アナリストの分析によると、企業側が下した経営判断は「契約延長」ではなく、「専用の受付端末への全面切り替え」でした。
この契約満了のタイミングと、2026年以降に外食産業を直撃した非接触需要・徹底したオペレーションの省力化要求が重なり、全国の店舗から静かに、かつ急速にペッパーくんの撤去と引退が進められました。