書写山圓教寺が世界的な脚光を浴びる最大の契機となったのが、2003年公開のハリウッド映画『ラストサムライ』のロケ地起用です。トム・クルーズ演じるオールグレン大尉と、渡辺謙演じる勝元が初めて言葉を交わし、禅的な精神世界を共有する極めて重要なシーンの舞台として、圓教寺の「三之堂(大講堂・食堂・常行堂)」が選ばれました。
当時の制作陣や関係者の証言によると、監督のエドワード・ズウィック氏が圓教寺に一目惚れした決定的な理由は、「360度どこを切り取っても電線や現代建築が一切映り込まない、中世日本の原風景が完全な形で保存されていたこと」にありました。大講堂の前に敷き詰められた砂利敷きの中庭や、巨大な木造建築がコの字型に並ぶ静寂のランドスケープは、CG全盛のハリウッドにおいても代替不可能な圧倒的リアリティを放っていたのです。
さらに2014年のNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』においても、岡田准一演じる黒田官兵衛が織田信長軍を迎え入れる緊迫の陣営シーンなどでロケ地として登場しました。歴史上、実際に羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)が毛利攻めの本陣をこの書写山に置いたという史実の重みも相まって、圓教寺は単なる観光地を超えた「歴史が呼吸する生きた舞台」として国内外から熱烈な支持を集め続けています。