歌舞伎町における暴力団の生態系を決定的に変滅へと追いやった最大の契機は、東京都暴力団排除条例の段階的強化と、改正風営法・組織犯罪処罰法の厳格運用です。みかじめ料(用心棒代)の授受に対する罰則強化は、長年続いていた「店とヤクザの共存関係」を根底から解体しました。
銀行口座の開設拒否、不動産賃貸契約の排除、携帯電話の契約制限など、いわゆる「社会的身分剥奪」に近い包囲網により、伝統的な組事務所の維持は困難を極めています。かつて職安通りや明治通り沿い、区役所通り裏に点在していた拠点ビルは次々と売却・閉鎖され、拠点の多くは都郊外や千葉・埼玉の賃貸マンション、あるいは暗号化された通信空間へと移転しました。
これにより、裏社会の経済基盤(シノギ)は激震に見舞われました。従来の古典的利権から、現代型のグレービジネスへの移行状況をまとめた客観データが以下の比較です。
表が示す通り、暴力団の活動実態は「店舗からの直接徴収」から「複雑なサプライチェーンの頂点に君臨するマネジメント役」へとシフトしています。暴力団排除条例は表層のヤクザを追放することに成功したものの、その資金ルートをより不透明かつ摘発困難な深層へと追いやる結果をもたらしました。