管理組合の理事会やフロント担当者が頭を抱える現場の二大トラブルが、マンション共用部分の私物放置トラブルと水漏れ事故の責任所在です。
共用廊下やアルコーブ(玄関前のくぼみスペース)にベビーカー、子供用自転車、傘立て、ゴルフバッグを置く行為は日常茶飯事となっています。置き配の普及によって荷物が一時的に置かれるケースも急増していますが、「規約で認められていない私物の常置」は消防法上の通行障害や美観低下を招き、住人間での激しい対立に発展します。
大手管理会社の現役フロントマネージャーは、現場の実情を次のように語ります。
「『うちの玄関前だから何を置いても自由だ』と主張される住民の方が多いのですが、アルコーブも共有部分です。一度黙認すると、粗大ゴミや私設ラックの設置にエスカレートし、理事会での警告文掲示から法的措置の検討へと発展するケースが後を絶ちません」
さらに深刻な金銭的被害をもたらすのがマンション共用部分の水漏れ責任です。天井から水が漏れてきた場合、「上階の専有部のミス」なのか「建物の共用立管の破損」なのかによって責任主体が180度変わります。
- 共用立管の老朽化による漏水:管理組合の管理責任となり、被害者への損害賠償や復旧費用は管理組合が加入する火災保険・施設賠償責任保険から支払われます。
- 専有部の床下配管・給排水設備の破損:上階の区分所有者の自己責任となり、個人賠償責任保険(特約)等で自己解決しなければなりません。床下配管の境界線(枝管と本管の接続部分)の特定にはコンクリート躯体の開口調査が必要となり、調査費用の負担を巡って裁判に発展するケースも頻発しています。