社会心理学や老年学の視点からタモリの生き方を分析すると、昭和・平成の芸能界に多く見られた「生涯現役を掲げて権力にしがみつく長老型タレント」とは対極にある、「脱・執着型のサクセスフル・エイジング」を見事に体現しています。
自らの社会的役割(看板番組の司会)に過剰に同化することなく、年齢や体力に応じて役割を軽やかに手放していく姿勢は、アイデンティティの危機に陥りやすい高齢期において極めて健全な精神状態を保つ秘訣です。この「タモリ流の引き際」を手本にすべき人と、安易に真似すべきではない人の判断基準は明確に分かれます。
タモリが潔く身を引くことができるのは、テレビカメラの外側に「深く愛せる日常」を誰よりも豊かに築いてきたからです。他者からの拍手や栄光に依存しない強固な精神的自立こそが、あの飄々とした佇まいを支えています。