軍役規定や当時の補給記録を紐解くと、足軽1人あたりに支給された米の量は「1日あたり5合(約750g)」が標準値として明記されています。現代の成人が食べる米の量は1日平均1.5合〜2合程度であることを考えると、実に2.5倍以上の分量です。
なぜこれほどの量を消費できたのか。その最大の理由は、戦国時代の主食と玄米が担っていた圧倒的な身体負荷へのエネルギー補填にあります。重さ15〜20kgにおよぶ甲冑や武器を担ぎ、険しい山野を数十キロメートル踏破する兵士の消費エネルギーは、現代のアスリート並みの1日4,000〜5,000kcalに達しました。
一日五合の理由を栄養学の観点から換算すると、米5合だけで約2,650〜2,700kcalを確保できます。さらに当時食されていた米は、精白されていない玄米や半搗き米(ぶつきまい)が中心でした。玄米は白米に比べてビタミンB1やマグネシウム、食物繊維が格段に豊富です。ビタミンB1は糖質を素早くエネルギーに変換する補酵素として働くため、脚気(かっけ)を防ぎつつ、疲労を翌日に残さない驚異的なスタミナ源となっていたのです。