徳之島における闘牛の起源は、江戸時代の農耕牛の慰労にさかのぼる。かつて苛酷な砂糖きびの収穫作業を終えた農民たちが、お互いの労をねぎらうために牛同士を戦わせたのが始まりだ。今や年に数回開催される定期大会は、島のカレンダーの軸となっている。正月、ゴールデンウィーク、そして秋の三大大会を中心に、年間を通じて血沸き肉躍る熱戦が繰り広げられる。
現地取材で目撃したのは、早朝からの凄まじい熱気だった。会場周辺には夜明け前から色とりどりの幟がはためき、口之島や沖永良部からの遠征組も顔を揃える。試合開始の太鼓が響くと、空気が一変した。荒い吐息と牛の鼻息、舞い上がる土煙が交差し、観客の叫び声とともに会場の電圧が一気に跳ね上がる。