演出家・映画監督への転身は、単なるタレントのセカンドキャリアではない。彼女の中に長年蓄積された美意識を吐き出すための必然であった。
監督作である映画『お元気ですか?』で見せた繊細な心理描写と徹底的に計算された映像美は、旧来の邦画の枠組みにとらわれない独自の質感を持っていた。キャストの感情の揺らぎを逃さない演出手法は、長年カメラの前に立ち続けてきた女優ならではの視点に裏打ちされている。映像の色彩、衣裳、小道具の配置一つに至るまで美学を貫く姿勢は、現在準備中とされる新作プロジェクトにも確実に引き継がれている。