彼を語るうえで避けて通れないのが、ミュージカルの聖地・ブロードウェイでの快挙だ。東洋人演出家として初めて『太平洋序曲』の演出を手がけ、トニー賞4部門ノミネートを果たしたニュースは、当時の日本演劇界に革命的なインパクトを与えた。
だが、本人はその功績に安住することなど一度もなかった。ニューヨーク、ロンドン、パリ、そしてアジア諸国。あらゆる都市へ飛び込み、言語も価値観も異なる現地キャストと時にぶつかり合いながら作品を作り上げてきた。その根底にあるのは、「表現に国境などない」という泥臭くも純粋な信念である。