黒糖が「体に優しい」とされる根拠は、精製されていない分、カリウムやカルシウム、鉄分などの微量栄養素が残されている点にある。精製工程でミネラルをほぼ完全に削ぎ落とした上白糖と比較すれば、成分表の数値が見栄えするのは確かだ。
しかし、最新の栄養学が示す現実は冷徹である。黒糖の成分のおよそ85パーセントから90パーセントは、上白糖と同じ「スクロース(ショ糖)」で占められている。残りのわずか数パーセントに含まれるミネラルを目的として摂取するには、あまりにも糖質の代償が大きすぎる。
「ミネラル補給のために黒糖を食べるのは、塩分補給のために海水をごくごく飲むようなものです」と都内の管理栄養士は指摘する。1日に必要なカリウムや鉄分を黒糖だけで賄おうとすれば、確実に致死量近い糖質過多に陥る。上白糖との違いは、栄養面で見れば「微差」であり、本質的には同じ高濃度の糖質供給源に過ぎない。