作品を重ねるごとに進化を遂げてきたこの世界だが、現在の熱狂は従来の枠組みをはるかに超越している。近年における最大の変革は、ステージと客席の垣根を取り払う「イマーシブ(没入型)体験」とテクノロジーの融合だ。
象徴的な例が『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stageである。本格的なヒップホップ音楽、圧巻のダンス、センシング技術を駆使したリアルタイム映像演出が一体となり、劇場全体が巨大なクラブへと変貌する。観客は単に物語を鑑賞する受け手ではなく、リングサイドで声援を送る当事者として空間を共有するのだ。
さらに表現形態の多様化も著しい。従来の王道ミュージカル形式だけでなく、重厚なストレートプレイ、観客参加型ライブ、プロジェクションと身体表現のみで空間を支配するノンバーバル演出など、舞台芸術としての深みは年々増している。虚構を現実に立ち上げるための技術革新と、人間の剥き出しのパッションが衝突する場――それこそが、このエンタメが人々を虜にする最大の秘密だ。