2026年大会のハーフパイプ決勝を観た者なら、誰もが息をのんだはずだ。ボトムでの圧倒的な加速、20フィート以上の高空へ突き抜けるエアオフ、そして空中で繰り出される2160(6回転)。かつてはビデオゲームの中でしか不可能とされた回転数が、いまや現実のコンペティションで次々と着地されている。
だが、真に観客を唸らせたのは回転数そのものではない。滞空時間の極限で見せるグラブ(ボードを掴む動作)の深さや、着地直前の絶妙なタメだ。競技の高難度化が極点に達したからこそ、審判員の採点基準もグラブのホールド時間やオリジナリティといった「質的要素」へ重きを置くようになった。数字の競い合いからアートへの脱皮。それが、今シーズン世界を席巻している新たな潮流だ。