社会現象を巻き起こしたデビューアルバム『First Love』。日本国内で800万枚以上を売り上げ、今なお音楽産業の歴代最高記録として君臨するこの金字塔は、当時15歳の少女が書き下ろしたという事実だけで神話となった。
だが、その瑞々しいリリックの端々に漂う早熟な諦念や寂寥感は、幼少期からスタジオの機材に囲まれ、母の浮き沈みや放浪癖を間近で見つめてきた環境と無縁ではない。ユニバーサルミュージック(当時東芝EMI)のスタッフたちを驚愕させたのは、単なる歌唱技術の高さではなく、人生を何周も生きたかのような声の説得力だった。母から無意識に継承した切なさが、世紀末の日本人の琴線に触れた瞬間だった。