ガラリと引き戸を開ければ、カウンター越しに響く威勢のいい挨拶。黒板にびっしりと書かれた日替わり短冊メニューは、長年通い詰める常連ですら目移りするほどの品数を誇る。ここは今や貴重な存在となった、昔ながらの大衆食堂そのものだ。
朝一番に丁寧に引かれる鰹と昆布の合わせ出汁、注文が入ってから強火で一気に仕上げる炒め物。日本の和食文化の根底にある「できたての温かさ」を頑なに守り抜く調理姿勢が、ひと口ごとにじんわりと染み渡る。気取った盛り付けはない。だが、皿からあふれんばかりのボリュームと確かな味付けが、働く人々の胃袋を鷲掴みにして離さないのだ。