不適切な発言や演出が即座にSNSで炎上するこの時代、お笑い芸人の表現の幅は急速に狭まっているように見える。しかし、彼はその窮屈な枠組みを嘆くどころか、むしろ「制約があるからこそ生まれる笑い」を楽しんでいるかのように見える。
「あかんこと」のギリギリのラインを見極め、アウトに見せかけてセーフの場所に着地する高度なバランス感覚。あるいは、自らを悪者やダメ男として差し出すことで、視聴者の批判を無力化してしまう逃走ルートの構築。毒を含みつつも決して誰も傷つけない、彼の笑いの航海術は、現代のクリエイターたちにとっても大いに学ぶべき示唆に富んでいる。