タイトル自体の考察なしには、この楽曲を語り切ることはできない。「ビターチョコデコレーション」——ビターチョコ(苦いチョコレート)とデコレーション(飾り付け)という二つの語の組み合わせは、単なるおしゃれなネーミングではない。
ビターチョコは、甘みの中に確固たる苦みを持つ食材だ。見た目はチョコレートという甘い文化的記号であり、外観だけ見れば「おいしそう」「かわいい」と映る。だが口にすれば、その本質は苦い。これは語り手の「社会的自己」の比喩だ——周囲には無害で適切に振る舞っているように見えるが、その内側は苦みとやり場のない感情で満たされている。
デコレーションは、その苦みを隠すために施される「装飾」だ。笑顔、礼儀正しさ、偽善、「角が立たない」振る舞い——これらすべてがデコレーションである。つまり「ビターチョコデコレーション」とは、苦い本質の上に施された欺瞞の飾り付け、すなわち現代人の社会的仮面そのものを指すタイトルなのだ。
日本語のボカロ文化において、このような「無害なタイトルで毒を包む」手法は一定の系譜を持つ(「メルト」「tender surrender」等の先例を持つ)が、syudouはその手法をより社会批評的な方向に鋭く砥いでいる。