ソテツ剪定は全部切るべき?失敗を防ぐ時期と枯らさない手入れ術

ソテツ剪定は全部切るべき?失敗を防ぐ時期と枯らさない手入れ術

ソテツ剪定は全部切るべき?失敗を防ぐ時期と枯らさない手入れ術とはどのようなものなのか? 主要なファクトを簡潔に解説します。

庭木の手入れにおいて「すべての葉を切り落とす」という行為は、通常であれば光合成を奪い木を枯らす暴挙に他なりません。ところが、ソテツの栽培現場では「初夏にすべての葉を根元から刈り落とす」という大胆な手法が古くから定着しています。ネット上では「丸坊主にして大丈夫なのか」という不安の声が散見されますが、生態学的に見れば、この全葉切除こそがソテツの美観と健康を保つための理にかなった手入れ方法です。

ソテツは毎年、あるいは隔年の初夏に、幹の頂点から「フラッシュ」と呼ばれる現象によって十数本から数十本もの新葉を一斉に噴き出します。古い前年以前の葉が残っていると、新しく展開する柔らかな新芽が古葉に干渉して擦れ合い、ねじれや葉先の折れ、樹形の乱れを引き起こします。あらかじめ古い葉をすべて刈り取ってリセットしておくことで、均整の取れた鮮やかなエメラルドグリーンの王冠状クラウンが一気に展開する仕掛けです。

さらに、全葉切除には衛生管理上の重大なメリットがあります。ソテツの葉は密集すると内側の風通しが極端に悪化し、カイガラムシ類やスス病の温床となります。幹の頂部に古い枯れ葉が滞留していると害虫の越冬場所を提供することになるため、一気に葉をリセットして幹全体に直射日光と風を行き渡らせる処置が、結果として病害虫の根絶につながります。ただし、これは幹の内部に豊富なデンプン質を蓄えた健康な株だからこそ成立する力技であり、弱った株や季節外れの作業では命取りになります。

池田 達也
著者

池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。