本場の味覚を知り尽くしたオーナーシェフ、エミリオ・ルッティの哲学は極めて明快だ。「伝統をリスペクトしながらも、日本の豊かな四季の恵みを皿の上に昇華させる」。彼の手から生まれる一皿は、単なる郷土料理の模倣ではない。
北イタリアの重厚な煮込み料理から、地中海の風を感じさせる澄んだ味わいの魚介料理まで、その振り幅は実に広い。それでいて、一口食べた瞬間に素材の輪郭が鮮明に立ち上がる。無駄な飾りを削ぎ落とし、味わいの本質だけを凝縮する手腕。これこそが、食通たちの心を掴んで離さない理由である。
「イタリア料理の本質は、素材に対する深い愛だ」と彼は微笑む。その言葉通り、提供されるすべての料理には、生産者への感謝と食材へのリスペクトがみなぎっている。