ドーヴィル競馬場の直線マイルコースは、一見すると平坦で走りやすいように見える。しかし、実際のレース展開は想像以上に過酷だ。スタートからゴールまで一切のコーナリングが存在しないため、息を入れるタイミングが極めて難しい。騎手には高度なペース判断が求められ、馬には道中いかにリラックスして脚を溜められるかという精神的な強靭さが要求される。
さらに、大西洋からの気まぐれな風や、フランス特有の重厚な洋芝がスタミナを削り取る。単に速いだけのスプリンター寄りマイラーでは、終盤の100メートルで脚色が钝る。逆に中距離馬では序盤のハイペースに乗れない。スピードとスタミナが極限のバランスで融合した馬だけが、最初に栄光のゴール板を駆け抜けることができるのだ。